はい、今回は奈良県葛城市にある「的場池10号墳(まとばいけじゅうごうふん)」を紹介します。かつて的場池10号墳は、現在地と異なる場所に存在しましたが、移設されて市内のスポーツセンターの片隅に保存されています。
そんなスポーツセンターの片隅に移設保存された古墳があると聞いたからには、見に行かずにはいられません。という訳で、奈良県葛城市にある「的場池10号墳」へ行ってきました。
的場池10号墳とは
的場池10号墳のある、奈良県葛城市に来ています。葛城市は、奈良県の中でも特に古墳が多いエリア。これには古代の名族「葛城氏」が本拠地としていたことも、理由の一つかもしれません。葛城市中部にある「屋敷山古墳」は、葛城氏の首長墓ではないかと考えられています。

的場池10号墳は、11基から構成される「的場池古墳群」に属します。もともと現在地より南西750mの場所に存在しましたが、開発により半数以上が消滅。現在は、8、11号墳が現地保存、5号墳が白鳳中学校内に、10号墳が葛城市スポーツセンター内に移設保存されています。

そんな訳で、的場池10号墳が保存されている、葛城市スポーツセンターまでやってきました。入口には「竹内街道の一里塚」が置かれています。竹内街道は難波宮から飛鳥を結ぶ日本最古の官道。古墳時代中期には竹内街道沿いに巨大前方後円墳が築かれ、権威を示したとされています。ただ奈良県側の竹内街道沿いには、巨大古墳は存在しません。

的場池10号墳を探すため、スポーツセンター内を歩いていると、万歳をした半裸の鹿の像を発見。なまじズボンを履いていて、股の辺りが少しモッコリしているので、よけい半裸感があります。ちなみに「スポレク奈良95」というイベントのマスコットキャラとのこと。

半裸の鹿を後に、的場池10号墳を探していると、体育館の裏にあるミニ庭園的な場所の一角に存在しました。

的場池古墳群は、金剛山から東へ伸びる丘陵上に東西に並ぶ古墳群。1~9号墳は5世紀末~6世紀初頭の築造で、10、11号墳は7世紀の築造。1~9号墳と、10、11号墳には築造時期に100年近い開きがあることから、同じ場所にあるものの関連性はないとの説も。

的場池10号墳は7号墳の墳丘を掘り、さらに地山を掘り下げて石室を構築。明確な封土は確認されておらず、築造時から封土は目立たない程度だったようです。墳形的には「方墳」になりますが、封土があまり盛られていなかったため詳細は不明。外部施設として、埴輪や葺石は確認されていません。遺物は、土師器、須恵器、刀子などが出土しています。
という訳で、古墳の周りを見てみることに。埋葬施設は、南に開口した無袖式の横穴式石室。全長4.1mと、石室としてはかなり小型の部類にはいります。幅も開口部付近で約0.8mしかなく、1人埋葬すればギリギリでしょう。棺については遺物が見つかっておらず、埋葬方法については分かっていません。

石室は、奥壁は60cmほどの石を1つ、側壁は30cmほどの石を3段に積み構成。精巧に加工された石材ではないため隙間が生じており、そこを小石でふさいでいたとのこと。石室内には底石が敷かれ、排水溝が設置されていました。天井石は発見時の段階で石室内に落下しているなど、失われていたようです。復元された石室には平らな石が載せられていますが、実際の姿ではないのかもしれません。

本来の場所には、隣に11号墳が存在し、こちらも8号墳の一部を崩して構築した古墳でした。構造もよく似ていることから、10号墳と11号墳には関係性があったようです。1~11号墳までを「的場池古墳群」としてまとめていますが、実際には10、11号墳は古墳群の中でも異質だったようです。

それにしてもあまり人が訪れない施設の片隅にある上、案内板もネームプレートもないので、これを見て古墳の石室と気づく人は少ないかもしれません。あまり人が訪れない施設の片隅で謎の物体を激写しているのもアレなので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ

今回は、奈良県葛城市にある「的場池10号墳」を紹介しました。スポーツセンターの片隅に移設保存された古墳でしたが、案内板もなく存在感が消された古墳でした。ここまで極小な横穴式石室が保存されるケースも珍しいので、案内板ぐらいあればと思うところです。
そんな訳で、的場池10号墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、スポーツセンター内に移設保存された古墳を紹介します。
的場池10号墳詳細
| 古墳名 | 的場池10号墳 |
| 別名 | 無し |
| 住所 | 奈良県葛城市竹内688−3 |
| 墳形 | 方墳(?) |
| 全長 | 不明 |
| 高さ | 不明 |
| 築造時期 | 7世紀 |
| 被葬者 | 不明 |
| 埋葬施設 | 横穴式石室 |
| 石室規模 | 不明 |
| 出土物 | 須恵器、土師器、刀子 |
| 指定文化財 | 無し |
| 参考資料 | ・奈良県遺跡地図web ・的場池古墳群(当麻町埋蔵文化財調査報告 ; 第1集) |
