はい今回は、奈良県大和高田市にある「かん山古墳」を紹介します。正直、見どころも、ツッコミどころも無いという困った古墳ですが、あえていうなら何の特徴もないところが特徴という古墳です。何かボケを入れようかと思いましたが、それすら思いつかない古墳なので、とりあえず「かん山古墳」を紹介したいと思います。
かん山古墳と築山古墳
かん山古墳のある大和高田市に来ています。大和高田市の観光スポットを調べてみましたが、有名スポットがないという観光真空地帯でした。ただ大和3台古墳群の一つ「馬見古墳群南群」に位置することから、古墳だけはかなりあります。
築山というのは人工的に作られた山というズバリそのままの意味ですが、おそらく当地の巨大古墳「築山古墳」が由来ではないでしょうか。
築山古墳は全国でも28番目に大きい前方後円墳ということで、まさに巨大な人工の山といえるでしょう。馬見古墳群の南群は、築山古墳を盟主として周辺に多くの古墳が点在しています。その中でもかん山古墳は、築山古墳のすぐ北側に位置し、築造時期も近いことから、築山古墳と深い関係があるようです。
築山古墳の被葬者は不明ですが、宮内庁により第28代顕宗天皇の「陵墓参考地」とされています。陵墓参考地というのは、天皇陵の可能性はあるけど、断定するには根拠が薄いお墓のこと。ちなみに宮内庁の指定する顕宗天皇陵は、お隣の香芝市に存在しています。
築山古墳は4世紀末に築造されており、顕宗天皇の時代より前に築造されています。そのため築山古墳が顕宗天皇の墓であるかについては、疑問も持たれています。
ただ築山古墳は巨大な前方後円墳であり、周辺に多数の陪塚が存在することから、大王クラスの墓である可能性は高いようです。そうした点において、かん山古墳の被葬者も大王に近い人物たっだのではないでしょうか。
古墳どころか公園の情報すらない
そんな訳で、築山駅から徒歩10分ほど歩いて、かん山古墳のある「築山公園」に到着。実は以前の古墳名は、かん山古墳ではなく「児童公園古墳」という、名前を考える気ゼロの素敵な名前でした。
さすがに安直すぎると思ったのか、2002年以降「かん山古墳」と呼ばれるようになりました。しかし「かん山」という名前も謎過ぎです。公園の入口へ行くと、独特の門柱が設置されています。付けられていただろう表札が抜き取られており、違和感を感じました。
公園の裏手にも同じような門柱がありましたが、こちらも表札が抜き取られています。ちなみに公園内を歩き回りましたが、公園名が書かれたものは一切ありませんでした。公園名がバレるとマズイのでしょうか?
訪問時が8月の猛暑だったためか、公園には、人っ子一人いません。むしろこんな灼熱の時期に、古墳を巡っている人の頭がおかしいのかもしれません。
公園の西側が古墳になっています。かん山古墳は、5世紀前半に築造された直径50mの大型円墳。この時期の古墳にしては珍しく、葺石が見つかっておらず周濠も確認されていません。
墳丘のすそ野に「通称 かん山」と達筆な書体で彫られた石碑が建てられていました。地元ではこの丘を「かん山」と呼んでいるのが、古墳名の由来となっているようです。ただ「古墳」とは彫られておらず、この丘が古墳であるという説明はいまだ皆無。案内板ぐらいあってもよさそうですが。
古墳には階段が設置されていますが、公園における古墳においては魔改造度は低いといえるでしょう。墳丘上からは円筒埴輪が出土しているほか、朝顔形埴輪などの形象埴輪も見つかっています。ちなみにこの階段の設置で、いくつかの埴輪列が損壊したとかしないとか・・・
墳丘にのぼっている途中に、石碑が建てられていました。「お、古墳に関する記述か?」と思いましたが「開田記念」と思しき文字が彫られており、古墳と関係なさそうでした。田んぼの話はいいんです・・・
古墳は2段に造られており、1段目をぐるっと回ってみます。立札があったので、古墳情報かと思いきや、不法投棄禁止の札でした。いや、古墳情報をください・・・
1段目に見るところもなかったので墳頂へ。この墳頂からは、埋葬施設が2基見つかっています。どちらも粘土槨で、竹割形木棺が納められていました。
すでに盗掘を受けており、鉄製品、勾玉、銅鏡の破片以外の副葬品は見つかっていません。今は埋葬施設は埋没保存されており、草以外何も見るところはありません。はるばる1時間かけてこの草を見に来たのかと思うと、感動もひとしおです。
こちらが墳頂からの眺め。目の前には一帯の盟主墳ともいえる「築山古墳」が横たわっています。もう少し高ければ古墳の形も分かると思うのですが、ほぼ同じ高さなので森にしか見えません。
とりあえず一周回ってみましたが、古墳情報どころか公園の名前もわからないという謎の場所でした。激写はし放題でしたが、インスタ映えスポットもなかったので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ
今回は、奈良県大和高田市にある「かん山古墳」を紹介しました。公園名も古墳情報も全くないという謎の公園古墳でした。広々とした公園なのに誰もいなかったことも併せて、微妙なオーラを発しているといえます。まあどんなオーラなのかと言われてもよくわかりませんが。
という訳で、かん山古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、公園の中にあるよくわからない古墳を紹介します。
かん山古墳詳細
古墳名 | かん山古墳 |
住所 | 奈良県大和高田市築山 |
墳形 | 円墳 |
全長 | 直径50m |
高さ | 不明 |
築造時期 | 5世紀前半 |
埋葬施設 | 粘土槨 |
被葬者 | 不明 |
参考資料 | ・かん山古墳 第1次発掘調査概要報告書 ・かん山古墳4次調査 |