はい、今回は奈良県桜井市にある「茶ノ木塚古墳(ちゃのきづかこふん)」を紹介します。茶ノ木塚古墳は、奈良ではよく見かける田んぼの中にあるギリギリ残っている古墳ですが、珍しく発掘調査が行われています。
発掘調査が行われた、田んぼにギリギリ残る古墳があると聞いたからには、見に行かずにはいられません。そんな訳で、奈良県桜井市にある茶ノ木塚古墳へ行ってきました。
茶ノ木塚古墳とは
茶ノ木塚古墳のある、奈良県桜井市に来ています。茶ノ木塚古墳周辺には、箸墓古墳を代表とする「纒向古墳群」が存在します。ただ、茶ノ木塚古墳は、築造時期が纒向古墳群よりかなり後に築造された古墳ということで、纒向古墳群には含まれていないようです。

茶ノ木塚古墳自体はマイナーな古墳ですが、南にホケノ山古墳、南西には卑弥呼の墓との説もある箸墓古墳が存在。そんな訳で今回は、箸墓古墳やホケノ山古墳へ行ったついでに、茶ノ木塚古墳に寄ってきました。

茶ノ木塚古墳は、ホケノ山古墳からすぐ北の田んぼの中に存在。あぜ道を少し進むと茶ノ木塚古墳が見えてきました。

ホットケーキみたいな形ですね
墳丘上部は大きく削られているのか、平たい姿。田んぼに残る古墳の多くは、削られるケースをよく見かけますが、茶ノ木塚古墳もかなり削られている様子。ちなみに横から見たらホットケーキみたいな姿ですが、上から見るとかなりいびつな姿をしています。

このような姿をしていますが、2017年~18年にかけて、発掘調査が行われています。茶ノ木塚古墳は5世紀後半に築造された直径21mの円墳。ただかなり削平されており、築造持の直径は35mの規模を有していたと考えられています。

発掘調査により、幅約7mの周濠が確認され、中から拳大の石が発見。これらは墳丘から転落したもので、築造持には葺石が敷かれていたと考えられています。ただ、石の数が多くなかったため、墳丘の上段にだけ使用されていた可能性があるとのこと。
また、周濠からは多数の円筒埴輪が見つかっている他、朝顔形埴輪や衣蓋、鶏、盾形などの形象埴輪が出土。さらに周濠の最下層からは、鳥形をはじめとした多くの木製品も出土しています。

茶ノ木塚古墳に近接する箸墓古墳やホケノ山古墳は、3世紀中頃~4世紀初頭の古墳時代前期に築造されています。それに対して茶ノ木塚古墳は、5世紀後半の築造。箸墓古墳から100年以上の開きがあり、茶ノ木塚古墳の被葬者が箸墓古墳やホケノ山古墳の被葬者と関係があるのかは不明です。
茶ノ木塚古墳という名前の由来は不明。冬場に来たので草が枯れてなんとなく茶色いですが、木は1本も生えていません。全盛期は、茶色い木が生えていたのでしょうか。そんな訳で、田んぼの中にある平たい盛り土を激写ばかりしているのも怪しさ抜群なので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ

今回は、奈良県桜井市にある「茶ノ木塚古墳」を紹介しました。田んぼに残る平べったい姿の古墳ですが、何故か発掘調査が行われたという古墳です。見た目は「平べったいですね」という感想しかないのですが、平たい古墳マニアには垂涎の古墳ではないでしょうか。平たい古墳マニアに会ったことがないので知りませんが。
そんな訳で、茶ノ木塚古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、田んぼの中にある平べったい古墳を紹介します。
茶ノ木塚古墳詳細
古墳名 | 茶ノ木塚古墳 |
住所 | 奈良県桜井市箸中 |
墳形 | 円墳 |
全長 | 築造持:約35m 現 状:約21m |
高さ | 不明 |
築造時期 | 5世紀後半 |
被葬者 | 不明 |
埋葬施設 | 不明 |
指定文化財 | なし |
出土物 | 円筒埴輪、朝顔形埴輪、衣蓋埴輪、鶏埴輪、盾形埴輪 |
参考資料 | ・茶ノ木塚古墳の発掘調査 (纒向遺跡第194次調査) ・古墳(塚)の景観と伝承―考古学と民俗学の融合的研究に向けて |