杣之内古墳群概要
奈良県天理市にある「杣之内古墳群」は、石上神宮の南側、山辺の道沿いに広がる古墳群で、天理市の杣之内町、勾田町、乙木町周辺に点在しています。布留川の南に位置し、東から延びる丘陵地帯を利用して築かれた複数の古墳から構成されており、その数は大小合わせて数十基に及びます。この古墳群は、古墳時代前期から終末期にかけての変遷を反映しており、墳丘の形状が前方後円墳から巨大な円墳、そして円墳へと推移しているのが特徴です。特に著名な古墳としては、日本最大の前方後方墳である西山古墳(墳丘長約183m)や、横穴式石室を持つ東乗鞍古墳、塚穴山古墳などが含まれます。
被葬者については、古代の有力豪族である物部氏との関連が指摘されており、物部氏の首長墓と考えられています。周辺には布留遺跡という集落遺跡が広がっており、この地域が古墳時代に重要な拠点であったことを示唆しています。西山古墳と西乗鞍古墳は国の史跡に指定されており、2018年2月13日に「杣之内古墳群」として史跡名称が変更され、追加指定が行われました。これらの古墳は、初期ヤマト王権の形成や地域の歴史を理解する上で貴重な遺跡とされています。