はい、今回は兵庫県明石市にある「松ヶ丘古墳(まつがおかこふん)」を紹介します。松ヶ丘古墳は、公園に移設保存された古墳ですが、児童公園内に保存されているため、なかなかシュールな風景に仕上がっています。
公園内に移設保存されたシュールな古墳と聞いたからには、可及的速やかに見に行かざるを得ません。そんな訳で、兵庫県明石市にある松ヶ丘古墳に行ってきました。
動物カーニバルでした
松ヶ丘古墳のある、兵庫県明石市に来ています。最寄り駅はJR朝霧駅ということで、ここからバスに乗り、松ヶ丘古墳のある松ヶ丘公園へ向かいます。海沿いの駅ということで、駅からは明石海峡大橋や淡路島を望むことができます。
朝霧駅は、ちょうど神戸市と明石の境い目にあり、100mほど東に行くと神戸市に入ります。ちょうどバス通りが神戸市と明石市の境界線となっています。松ヶ丘古墳のある「松ヶ丘公園」はバス道の西側にあるため、明石市に属しているようです。
という訳で、松ヶ丘古墳のある松ヶ丘公園にやってきました。事前情報ではこの公園のどこかにあるとのこと。
公園は丘陵地となっており、階段を上ってみましたが古墳らしきものは見当たりません。公園の西側が児童公園になっており、この辺りに古墳がありそうな気配を感じましす。
土曜日の昼下がりということもあり、親子づれや、散歩の老人などかなり賑わっています。これは古墳激写オジサンにとっては厳しいシチュエーション。とりあえず、腹をくくって古墳を探します。
この公園、独特なのが「動物のオブジェ」が大量に置かれていること。どれもリアルに作られており、昭和を感じる懐かしい公園です。
こちらが色鮮やかなトラ。やはり阪神ファンが多いからでしょうか、やたら勇ましいポージングがとられています。
トラの近くにある鹿の一家。トラのエサという設定なのかは知りませんが、こちらもなかなか精巧に作られています。特に足元を見ると、歩いているシーンを再現するため、ワザワザ持ち上げた足の下に支柱を作る芸の細かさ。
鹿の近くにあるライオン夫婦。トラと違って目に力がありません。ヤル気はあるのか?
こちらはバイソンとバッファローの対決シーン。というか、バイソンとバッファローってケンカするんでしょうか…
こちらは襲う気満々の白クマ。ただ、チビッコに乗られまくったのかだいぶ悲しい感じになっています。
こちらも戦闘力高めの象。一般的に公園にある象は、滑り台やシーソーなど親しみやすい遊具のイメージですが、松が丘公園の象はそんな妥協を許しません。
「お控えなすって」のポーズが妙に似合うゴリラ。どんな資料を元にしたら、こんなポーズになるのか気になってしかたがありません。
なかなかシブい人生を歩んできたのか、素敵な表情をしています。その視線の先に何があるのでしょう。
そんなこんなで動物カーニバルをくぐりぬけた先に、松ヶ丘古墳が存在しました。
シマウマ古墳ですね
全国でも、シマウマと古墳が一枚の写真に収まる場所はここしかないでしょう。個人的には、カオス感が最高です。
松ヶ丘古墳の一帯には100基ほどの古墳で構成される「多聞古墳群」が存在しました。しかし昭和30年代に「明舞団地」が建設。そのため古墳のほとんどが消滅。松ヶ丘古墳はその唯一の生き残りとして、松ヶ丘公園内に移設保存されています。
ちなみに築造時期、墳形、出土品などは不明。石室の前に看板があるので案内板かと思いましたが、猫にエサをやるなという看板でした。
かろうじて案内らしき地図も置かれているのですが、サッパリ意味が分かりません。昔の周辺図ということでしょうか。
ちなみに名前も標識により「松ヶ丘古墳」と「松が丘古墳」の両方があり、どちらが正解かは不明。
石室の入口は柵があり中に入ることはできません。公園内にあるので、入られたら子どもたちの秘密基地にされてしまうのでしょう。
こちらは、石室の内部。天井石は失われていたのか、コンクリートを使用しています。どこまで忠実に移設したのかは不明ですが、平らな自然石を上手く組み合わせた横穴式石室になります。
玄室と羨道のつながり方は石室により異なっており、松ヶ丘古墳の場合は「右袖式横穴式石室」でした。
近畿における右袖式は、初期タイプの横穴式石室であるといわれています。横穴式石室が近畿で出現するのは、5世紀末から6世紀初めとされているので、松ヶ丘古墳もそのあたりに築造されたのかもしれません。
松ヶ丘古墳のある多聞古墳群は、明石海峡を望む位置に築かれています。被葬者は不明ですが、明石海峡に権益をもつ海運に関わっていた豪族の墓なのかもしれません。
ところで、多聞古墳群は明舞団地の開発により大半が失われました。古墳を壊しまくったせいかは不明ですが、団地では20年の間に飛び降りやら物騒なことが続出。そんな古墳の祟りを恐れたのか、明舞センターの一角に、祠と古墳の石が祭られていました。
古墳の石材を集め直したぐらいで祟りが収まったのかは分かりませんが、それをせざる得ないぐらい住民は古墳の祟りを恐れたのでしょう。
ちなみに由緒には「古墳石の一部と思われる」と書いているので、本当に古墳石かは不明。まあ、ただの石なら更なる怪奇現象が起こってそうですが…
という訳で、私には古墳の祟りが降りかからないようお参りして、帰ることにしました。
まとめ
今回は、兵庫県明石市にある「松ヶ丘古墳」を紹介しました。公園に移設保存された古墳でしたが、アニマル軍団のインパクトが強すぎて、やや古墳がかすんでしまいました。ただ古墳を潰しまくったせいで、団地に祟りをもたらし、住民を不安のどん底に陥れるという点では、強力なパワースポットではないでしょうか。
という訳で、松ヶ丘古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、動物に囲まれたシマウマ古墳を紹介します。
松ヶ丘古墳詳細
古墳名 | 松ヶ丘古墳 |
住所 | 兵庫県明石市松が丘1丁目3−19 |
墳形 | 不明 |
全長 | 不明 |
高さ | 不明 |
築造時期 | 古墳時代後半(?) |
被葬者 | 不明 |
埋葬施設 | 横穴式石室 |
出土物 | 不明 |
参考資料 | 案内板 |