はい、今回は奈良県斑鳩町にある「駒塚古墳(こまづかこふん)」を紹介します。斑鳩町は聖徳太子ゆかりの町として知られていますが、駒塚古墳は聖徳太子の愛馬である「黒駒」の墓と伝わる古墳です。
馬の古墳と聞いたらいてもたってもいられず、気がついた時には斑鳩町へ向かっていました。そんな訳で今回は、奈良県斑鳩町にある「駒塚古墳」を紹介します。
駒塚古墳とは
駒塚古墳のある奈良県斑鳩町に来ています。古墳巡りでは、車を停める場所に頭を悩やませます。その点、駒塚古墳はコメダの隣にあるので、モーニングも兼ねてコメダにやってきました。コメダは古墳ファンのためにも、積極的に古墳の隣に出店するべきですね。
という訳で、モーニングを堪能した後にコメダの駐車場に隣接する駒塚古墳に向かいました。駒塚古墳は、全長約60mの規模の前方後円墳。斑鳩町には前方後円墳は少ないため、貴重な古墳といえます。
発掘調査により埴輪、土師器、二重口縁壺が出土し、壺の形状から4世紀後半の築造と考えられています。
被葬者については、聖徳太子の愛馬である「黒駒」との伝説があります。黒駒は、甲斐国から聖徳太子に献上された馬で、聖徳太子を乗せた黒駒は空高く飛び上がり、富士山を超えて信濃まで行ったとも言われています。もしかしてペガサスなんでしょうか?
伝説によると、聖徳太子が富士山の頂上から西に光る場所を見つけ、そこを自分の墓所と決めたと伝わっています。話がなかなかファンタジーついていけません。
しかし聖徳太子の飼い犬だった「雪丸」も人の言葉を話し、遺言で自分の埋葬場所を指名するぐらいなので、あり得るのかもしれません。
平安時代に編纂された『聖徳太子伝補闕記』によると「聖徳太子が黒駒のために作った墓が、中宮寺の南側にある長大墓である」と記されています。
また同じく平安時代に編纂された『聖徳太子伝暦』にも「聖徳太子が亡くなった後、太子に殉死した黒駒を、群臣が中宮寺の南の墓に埋葬した」と記されています。駒塚古墳がちょうど中宮寺の南側に位置しており、黒駒の墓とされた根拠と思われます。
ただ、発掘調査の結果から駒塚古墳は4世紀後半に築造されたことが分かっています。聖徳太子が活躍した時代から200年以上の開きがあり、実際には駒塚古墳が黒駒の墓ではないようです。
ちなみに駒塚古墳の南側には「調子丸古墳」があり、黒駒の馬丁であった調子丸の墓と伝わっています。こちらも5世紀に築造された古墳なので、実際に調子丸の墓ではないとのこと。
そんな黒駒の古墳と伝わる駒塚古墳ですが、周囲をフェンスに囲まれており中に入ることができません。とりあえず、グルっと一周できるので見てみようと思います。
こちらがコメダの駐車場から見た西側。ここのみが古墳の全貌を見ることができます。前方部を南側に向けた古墳で、写真手前が前方部、奥が後円部になります。
周辺がギリギリまで開発されているので一部削平されていますが、比較的良好に墳形を留めています。
墳丘に近づいてみると、真ん中あたりに謎の石碑が建てられていますが、文字面が反対側にあるので何が書かれているかは不明。
こちらが北側の後円部。あまり鬱蒼とならないよう木が伐採され、ある程度管理されているようです。
南側の前方部は、削平されているのか一段低くなっています。その場所には謎の石材が散乱し、若干シュールさを醸し出しています。
古墳の北東は住宅地に囲まれてみることができませんが、南東は小さな公園があり、そこから古墳を確認することができます。といっても、何が見える訳でもありませんが。
駒塚古墳が黒駒の墓でないことは間違いないようですが、平安時代の資料にはこの辺りに埋葬されたとも記されています。馬の墓に大がかりな埋葬施設を作ったとは考えにくいため、知らない間に消滅したのかもしれません。
とりあえず、コメダの駐車場や住宅地で謎の盛り土を激写しまくっていると、色々と視線を感じるので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ
今回は、奈良県斑鳩町にある「駒塚古墳」を紹介しました。黒駒の墓である可能性はゼロですが、黒駒がどこに祀られたのかますます謎が深まりました。そもそも、そのような馬がいたのかも怪しいのですが。
聖徳太子ゆかりの町だから、古墳も聖徳太子ゆかりの墓だろうと寄せていく感じはとても素敵です。いつか本当の黒駒の墓が見つかることを楽しみにしています。
そんな訳で駒塚古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、馬の古墳と伝わるけど馬の古墳ではない古墳を紹介します。
駒塚古墳詳細
古墳名 | 駒塚古墳 |
住所 | 奈良県生駒郡斑鳩町東福寺1丁目39 |
墳形 | 前方後円墳 |
全長 | 49m以上(復元規模60m) |
高さ | 約2m |
築造時期 | 4世紀後半 |
被葬者 | 伝:黒駒 |
埋葬施設 | 不明 |
町の指定史跡 | 1992年年10月8日 |
出土物 | 埴輪・二重口縁壺・土師器 |
参考資料 | ・斑鳩町歴史的風致維持向上計画 ・斑鳩町ホームページ |