はい、今回は大阪府八尾市にある「河内ドルメン(大窪・山畑36号墳)」を紹介します。大窪・山畑36号墳は、その姿から「河内ドルメン」という異名を持つ古墳として知られています。ただ存在する場所がなかなかの茂みにあり、訪れる人は多くありません。
しかし、茂みにあるドルメン古墳があると聞いたからには、見に行かずにいられません。そんな訳で、大阪府八尾市にある河内ドルメンこと「大窪・山畑36号墳」へ行ってきました。
河内ドルメン(大窪・山畑36号墳)とは
河内ドルメンは、高安山に築造された「高安千塚古墳」の一つ。千塚という名前の通り、多くの小型古墳が造られ、大正時代までは565基の古墳が存在しました。開発や開墾により半数近く失われていましたが、今でも230基の古墳が確認されています。
河内ドルメンと呼ばれていますが、正式名称は「大窪・山畑36号墳」で、高安千塚古墳群における大窪・山畑支群に属します。高安千塚古墳群は国の史跡に登録され、大窪・山畑支群の中では、大窪・山畑7号墳を含む3基の古墳が登録。しかし河内ドルメンは、国の史跡には含まれていません。
そんな訳で、河内ドルメンのある大阪府八尾市に来ています。河内ドルメン近くに車を停めるスペースがあるか不明だったため、今回は八尾市立歴史民俗資料館近くで自転車をレンタル。アラフィフなので、電動機付き自転車を借りたのは言うまでもありません。
河内ドルメンは、高安山の山腹に存在しますが、農道が通っているため近くまでは簡単に行くことができます。ただ山腹ということで坂道がかなりキツく、電動機付きの自転車にもかかわらずかなりハード。
八尾市立歴史民俗資料館から北に進み、坂を上りきったところに「玉祖神社(たまのおやじんじゃ)」が鎮座します。玉祖神社は、平安時代に編纂された延喜式神名帳に記載された由緒ある式内社。社伝によると、710年に玉祖連が先祖の玉祖命を祀るため創建したと記されています。
玉という名前が付くように、玉祖連は勾玉や管玉などを製造する「玉造部」を束ねていたと考えられています。由緒によると、垂仁天皇の皇子である五十瓊敷入彦命が、勾玉製造のために高安郷を玉祖連に与えたとのこと。
高安千塚古墳群は、渡来系豪族の群集墳という説が有力ですが、高安一帯には玉祖連のような在地の豪族も勢力を持っていました。そのため高安千塚古墳群は渡来系豪族だけでなく、在地の豪族の墓も含まれている可能性もあるようです。
玉祖神社で参拝した後に、河内ドルメンへ向かいます。神社から自転車で南に3分ほど行った所に工事現場があり、その脇に山へ続く小道が存在します。
山道を少し歩くと、足下に奇妙な石材が露出していました。石材の下にはわずかな空間があり、なんとなく石室ぽい雰囲気もあります。水の流れみたいなものも聞こえたので、ただの配管なのかもしれませんが…
謎の石材を後に山道を進みますが、事前調査によると左側の茂みに僅かな隙間があり、そこを突き進むと河内ドルメンが存在するとのこと。注意深く茂みを見つめていると、それらしき隙間を発見。
これは入りたくない
隙間と言えば隙間ですが、ほぼ茂み。とは言え、ここまで来たからには突入するしかありません。道らしい道はなく、Googleマップに登録された場所らしきところに突き進みますが、なんとなく茂みが少ないところがルートらしいと分かりました。冬でこれですから、夏場に行くのは無理ではないでしょうか。
30秒ほど茂みと格闘しながら進んで行くと、開けた場所があらわれ、真ん中に河内ドルメンこと大窪・山畑36号墳が存在します。
ドルメンというのは日本語で「支石墓」ともいい、世界各地でみられる巨石墓。明治時代に日本に来日したアメリカ合衆国の動物学者「エドワード・S・モース」が、1879年頃に高安千塚古墳群を調査し「日本におけるドルメン」という論文を発表しています。河内ドルメンの由来は、ここからきているとのこと。
ただ実際にはドルメンではなく、もとは直径10m、高さ3.6mの円墳だったと考えられています。現在は埋葬施設の横穴式石室の羨道部のみが残った状態で、ドルメンのように見えているようです。
羨道部は側壁に自然石を2~3段積み、天井に巨石を配置。本来の羨道は幅1.7m、長さ2.5mという規模とのこと。片側に偏っていますが、大きな木により支えられており、なんとか石室らしい姿を保っています。
折角やってきたので、石室をくぐってみました。だから何だといわれても困るんですが。河内ドルメンの北側から見ると、より崩れそうな感じが伝わってきます。一回大きな地震がきたら危ないかもしれません。
羨道部だけでこれだけの規模があったとすると、本来はかなり大きな横穴式石室だったのかもしれません。そんな訳で、誰もいない茂みで謎の石材を一人で激写していると、とんでもなく寂しくなってきたので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ
今回は、大阪府八尾市にある「河内ドルメン(大窪・山畑36号墳)」を紹介しました。おもむろに茂みに突入するためオススメはできませんが、茂みに突入して「ドルメンですね」とつぶやいてみたい人にはオススメの古墳ではないでしょうか。
そんな訳で、河内ドルメンこと大窪・山畑36号墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、茂みにあるドルメン古墳を紹介します。
河内ドルメン(大窪・山畑36号墳)詳細
古墳名 | 大窪・山畑36号墳 |
通称 | 河内ドルメン |
住所 | 大阪府八尾市大窪382 |
墳形 | 円墳 |
全長 | 10m |
高さ | 3.6m |
築造時期 | 不明 |
被葬者 | 不明 |
埋葬施設 | 横穴式石室 |
指定文化財 | なし |
出土物 | 不明 |
参考資料 | ・八尾の史跡. |