はい、今回は兵庫県神戸市にある「狩口台きつね塚古墳(かりぐちだいきつねつかこふん)」を紹介します。狩口台きつね塚古墳は、明石海峡が一望できる丘陵地に築造された古墳です。
どちらかというとマイナーな古墳ですが、石室規模は神戸市最大級。また墳丘の周りには2重の濠を有している点も、非常に珍しいとされています。神戸市最大級の石室で、2重の濠を持つ古墳と聞いたからには見に行かずにはいられません。そんな訳で、気がついたら狩口台きつね塚古墳のある兵庫県神戸市に旅立っていました。
狩口台きつね塚古墳とは
狩口台きつね塚古墳のある兵庫県神戸市に来ています。今回は、朝霧駅周辺にある「松ヶ丘古墳」や「大歳山2号墳」を巡りながら狩口台きつね塚古墳へやってきました。

狩口台きつね塚古墳は、JR朝霧駅から徒歩15分ほどの閑静な住宅街に存在します。そんな訳なのか、犬の糞の注意看板も心なしか上品な表現。

この一帯は海と山が迫っており、平地がほとんどありません。坂道を上っていると、明石海峡が一望できる光景が広がっていました。

ここからさらに坂を上り、住宅地に入っていきます。しばらく歩くとキレイなマンションがあり、その隣に古墳が存在する「きつね塚緑地」があります。


狩口台きつね塚古墳は整備された古墳で、きつね塚緑地の中央に鎮座します。

神戸市の指定文化財ということで、案内板も設置。ただ印刷面が上向きのため、太陽光により思いっきり文字が飛んでいます。文字の判読はギリギリな感じ。


狩口台きつね塚古墳は、6世紀後半に築造された直径26mの円墳。周辺に他に古墳が存在せず、単独の古墳となっています。墳丘は、黄色と褐色または黒色の砂質土により突き固められた2段築成。表面に葺石は敷かれておらず、埴輪も見つかっていないことも、古墳時代後期の特徴を示しています。
狩口台きつね塚古墳の特徴として、内濠3m、外濠5mの幅を持つ「2重の濠」を有する点です。外濠の直径は52mにもおよび、この時代としては大規模な古墳といってもいいでしょう。古墳に濠が巡らされることは多いのですが、2重に濠が巡らされる古墳は多くありません。現在、濠は遊歩道に整備され、その遺構を確認することができます。

こちらが、古墳の西側。どこからどう見ても円墳です。

とりあえず1周してもなにも無いので、古墳に上ってみることに。こちらが墳丘の2段目で、周囲に幅2mの平坦部が作られています。埋葬施設は、おそらくこの2段目に存在したと思われます。

埋葬施設は、開口部を南西に向けた横穴式石室で、石材には巨大な花崗岩を用いています。全長9.5mを測り、神戸市では最大級。とはいえ現在石室は埋め戻されており、見ることはできません。

石室は盗掘を受け石棺は失われていますが、組合式家型石棺の破片が見つかっています。石棺は凝灰岩質砂岩製で、内側に赤い顔料が塗布されていました。副葬品として、金属装馬具や須恵器が出土。特に金属装馬具の金銅花形鏡板付轡と金銅花形杏葉は、全国でも出土例が少ないとのこと。狩口台きつね塚古墳の出土品は、考古学的にも貴重なものということで、神戸市の指定有形文化財に登録されています。

また須恵器は、6世紀後半のものと7世紀初頭の2種類が見つかっています。この点から、狩口台きつね塚古墳は、6世紀後半に築造され、7世紀初頭までにもう一人追葬されたのではないかと考えられています。
という訳で、墳頂まで上ってみましたが、地面はコンクリで固められ古墳感はありません。古墳の上から眺めると明石海峡が一望できるかと思いきや、真っ正面には巨大なマンションがあり何も見えません。お疲れ様でした。

立地的に明石海峡を見下ろす場所にある事から、被葬者は海上交通と関わりの深い豪族だったのかもしれません。狩口台きつね塚古墳から2kmほど東には、有名な「五色塚古墳」が存在します。五色塚古墳も明石海峡を見下ろす丘陵地に築造されており、被葬者は海運に関りの深い豪族と考えられています。交通の要衝を抑える豪族というのはかなりの力を蓄えることができるようで、五色塚古墳は当時の大王墓と同じ規模を有しています。

狩口台きつねづか古墳の被葬者が、明石海峡一帯の海運を支配する豪族であったとすれば、独立墳、2重の濠、巨大な横穴式石室、朱塗りの石棺、珍しい金銅装の馬具を有する立派な古墳であったことも理解できます。
まとめ

今回は、兵庫県神戸市にある「狩口台きつね塚古墳」を紹介しました。神戸市内最大級の石室ということですが、埋め戻されて見ることができませんでした。それにしても古墳名の「狩口台」は地名なんで分かりますが、「きつね塚」はどこから出てきたのか気になって夜も眠れません。
そんな訳で、狩口台きつね塚古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、市内最大級の石室を持つけど見れない古墳を紹介します。
狩口台きつね塚古墳詳細
| 古墳名 | 狩口台きつね塚古墳 |
| 住所 | 兵庫県神戸市垂水区狩口台7丁目5 |
| 墳形 | 円墳 |
| 直径 | 26m |
| 高さ | 不明 |
| 築造時期 | 6世紀後半 |
| 被葬者 | 不明 |
| 埋葬施設 | 横穴式石室(両袖式) |
| 出土物 | 金属装馬具、須恵器 |
| 指定文化財 | 神戸市の史跡:1997年10月23日 |
| 参考資料 | ・案内板 ・神戸市の古墳 ・訪ねてみよう神戸の遺跡 |
案内板
明石海峡を見下ろす丘陵上につくられた直径24mの円墳です。6世紀後半ではあまり例がない二重の堀が掘られています。外側の堀の直径は52mです。墳丘は2段の斜面でできており、全て盛り土でつくられています。
埋葬施設は全長9.5mの横穴式石室で、中には家形石棺が納められていました。金銅装の馬具や土器も見つかっています。それらの遺物から西暦580年ごろにつくられたことがわかります。
平成28年3月
神戸市教育委員会
