はい、今回は奈良県桜井市にある「稲荷山古墳(いなりやまこふん)」を紹介します。古墳と神社の相性は抜群ということで、墳丘の上に神社が建てられるケースはよくみかけます。
稲荷山古墳も、名前の通り墳丘上に稲荷社が建てられた古墳として知られています。そんな墳丘に稲荷社が建てられた古墳があるとと聞いたからには、見に行かずにはいられません。ということで、奈良県桜井市にある「稲荷山古墳」へ行ってきました。
稲荷山古墳とは
稲荷山古墳のある、奈良県桜井市に来ています。稲荷山古墳のすぐ北東には、卑弥呼の墓との説がある箸墓古墳など、数多くの古墳が存在。その中で、古墳時代前期に築造されたものは「纒向古墳群(まきむくこふんぐん)」と呼ばれています。
箸墓古墳から東には、ホケノ山古墳をはじめとした数多くの古墳が存在しますが、西側にはあまり存在しません。稲荷山古墳はそんな箸墓古墳の西側に存在する、数少ない古墳の一つ。
稲荷山古墳は、ローソンのすぐ隣にあるので、買い物をしたついでに稲荷山古墳へ。こちらが稲荷山古墳の全景。駐車場なので視界を遮るものが少なく、全体がよく分かります。
現在の稲荷山古墳は全長約20m、高さ3mを測り、墳形は円墳に近い姿。北と東は駐車場、西は道路、南は会社に接しています。
元々は円墳と考えられていましたが、コンビニ建設にともなう発掘調査により、古墳北側が方形であることが判明。また江戸時代の古地図には、南側に細長い墳丘が描かれていたことから、前方後方墳である可能性もあるとのこと。
墳丘には葺石が施されておらず、埴輪も存在しなかったと考えられています。また、周濠は存在しましたが、濠幅は狭かったようです。これらの特徴から稲荷山古墳は、3世紀代に築造されたとの説も。
という訳で、稲荷山古墳は上ることができるため行ってみることに。周囲にフェンスが張り巡らされていますが、西側と南側から墳丘に上ることができます。ただ階段が設置されているのが東側なので、南側の細い通路から北に進み、階段から上るのが正規ルートと思われます。
墳丘へ上がったところに、赤い鳥居が建てられ、狐の石像が置かれていました。稲荷山古墳には、古墳名の通り「豊慶大神」という稲荷社が建てられています。稲荷社なので、稲荷神が祀られていると思いますが、由緒は不明。豊慶大神という名前も不明で、読み方すら分かりません。
墳頂には祠が建てられており、その隣には謎の石が2つ祀られています。石の由緒は不明で、古墳に関係するものかは分かりません。墳頂に祠が建つため、発掘調査は行われておらず、埋葬施設については不明。
3世紀代に築造されたとすると、箸墓古墳の築造に前後する時期にあたります。纒向古墳群の中では、前方後方墳はあまり存在しません。箸墓古墳と時期も距離も近いことから、箸墓古墳の被葬者との関係性が気になるところです。
そんなわけで、稲荷社と謎の石にお参りをしたらすることがなくなりました。謎の盛り土を行ったり来たりしている姿が、駐車場から丸見えで恥ずかしいので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ
今回は、奈良県桜井市にある「稲荷山古墳」を紹介しました。稲荷社が建つ謎の盛り土ですが、箸墓古墳に近い時代に築造されたかもしれない前方後方墳ということなら、なかなか興味深い古墳ではないでしょうか。
そんな訳で、稲荷山古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、稲荷社が建つ前方後方墳かもしれない古墳を紹介します。
