はい、今回は奈良県三郷町にある「ボウジ1号墳」を紹介します。一般的に古墳は、山の中腹から平野部にかけて広く存在しますが、一部山の山頂付近にも古墳が存在します。
このボウジ1号墳も、思いっきり山頂に築造された古墳として知られています。そんな山頂に築かれた古墳があると聞いたからには、見に行かずにはいられません。という訳で、奈良県三郷町にある「ボウジ1号墳」へ行ってきました。
ボウジ1号墳とは
ボウジ1号墳のある、奈良県三郷町に来ています。三郷町は大阪府と接する奈良県側の玄関口で、古くから奈良竜田街道が通る交通の要衝でした。
この一帯は生駒山地の南端に位置し、大阪府側には2000基以上の古墳が築かれた「平尾山古墳群」が存在します。ただ奈良県側には古墳の数が極端に少なく、三郷町においては十数基の古墳が確認されるに留まります。
そんなわけで三郷町では数少ない古墳の一つである、ボウジ1号墳へ向かうことに。ボウジ1号墳は、生駒山地南端のほぼ山頂付近に存在します。普通なら訪れるのは困難ですが、付近は「信貴山のどか村」が存在するため、近くまでは簡単に行くことができます。今回は、家族で信貴山のどか村に行ったついでに、ボウジ1号墳へ。
家族と分かれ、ボウジ1号墳へ向かう途中に、小さなお堂が建てられていました。その案内板を読んでみると、どうやらこの一帯の地名が「ボウジ」とのこと。ただボウジの意味はサッパリ分かりません。
祠から少し先に、赤い鳥居が見えてきました。鳥居をよく見ると、何やら不思議な文字が書かれており、奥からヤバそうなオーラが漂っていました。Googleマップを見ると「神社」としか記載が無く、名前は不明。もちろん怖くて行けません。
さらに歩いていくと、信貴山のどか村の臨時駐車場があり、その奥に小さな山が存在。ボウジ1号墳はこの山の中に存在します。過去に訪れた人のブログを見ると、赤いドラム缶の脇から一気に30mほど登ったところにあるとのこと。
赤いドラム缶の近くまで行ってみましたが、茂みしかありません。どうやら茂みを突き進み、道なき道を行く必要があるようです。これが古墳巡りでいう「藪こぎ」。
背丈ほどある草をかき分け、山に突入。当然道など無いので、草があろうが倒木があろうが、通れそうな場所をひたすら登ります。少し登ると小山の山頂に着きましたが、古墳が見あたりません。どうやら登りすぎたようで、少し下りてひたすら周辺を探索。枝に服が引っかかり、着ている服はボロボロに。
そうこう探索していると、石室らしきものを発見。近づくとようやくボウジ1号墳に到着です。
ボウジ1号墳は既に封土は失われており、石室がむき出しの状態。そのため、1辺15mの方墳との説もありますが、墳形の詳細は不明。築造時期は、7世紀頃と考えられています。
埋葬施設は、羨道付きの横口式石槨。ただ石材の多くが失われており、羨道の一部と玄室の底石が残るのみ。既に盗掘を受けており、遺物は多くありませんが、土師器、須恵器、瓦器、鉄釘、金環刀装具が出土しています。
という訳で、古墳の周りを見てみることに。こちらは玄室に見えますが、羨道の一部。現在は天井石と側壁の一部が残されています。もともと羨道規模は、推定で長さ5mと考えられています。ちなみに羨道の前には、前庭部と呼ばれるテラス部が存在した可能性があるとのこと。
こちらが玄室。石材が抜き取られており、底石のみが残ります。現存規模は全長2.8mとのこと。棺に関する遺物が無いことから、直接埋葬されたと考えられています。
ボウジ1号墳は、奈良県三郷町に位置しますが、大阪府柏原市の境界近くに存在します。立地的に平尾山古墳群に近いことから、奈良の古墳というよりも、平尾山古墳群の支群なのかもしれません。
ちなみに1号墳という名前の通り、近くに2、3号墳も存在しますが、小型で破壊も進んで見つけるのがかなり困難とのこと。探すかどうか悩んでいましたが、道もない山の中で、一体自分は何をやっているのかと我に帰ってしまったので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ
今回は、奈良県三郷町にある「ボウジ1号墳」を紹介しました。山の中の道無き道の先にある古墳ということで、なかなか訪問のハードル高めの古墳といえるでしょう。ただ行く人は、そんなにいないと思いますが。ちなみにボロボロで帰ってきた姿を見た家族が「何があったん?」と聞いてきました。
そんな訳で、ボウジ1号墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、山の中にある道無き道の先にある古墳を紹介します。
ボウジ1号墳詳細
古墳名 | ボウジ1号墳 |
別名 | 無し |
住所 | 奈良県生駒郡三郷町信貴南畑1丁目7−1 |
墳形 | 方墳 |
全長 | 15m |
高さ | 不明 |
築造時期 | 7世紀 |
被葬者 | 不明 |
埋葬施設 | 横口式石槨 |
石室規模 | 不明 |
出土物 | 土師器、須恵器、瓦器、鉄釘、金環刀装具 |
指定文化財 | 無し |
参考資料 | 奈良県遺跡地図web |