はい、今回は大阪府岸和田市にある「小金塚古墳(こがねづかこふん)」を紹介します。この小金塚古墳ですが、周囲に道路が囲むように通っており、まるで「ラウンドアバウト(環状交差点)」の雰囲気を醸し出しています。
イマイチ何を言っているのかよく分からないと思いますが、ラウンドアバウトの雰囲気を醸し出した古墳と聞いたからには見に行かずにはいられません。そんな訳で、大阪府岸和田市にある「小金塚古墳」へ行ってきました。
小金塚古墳とは
小金塚古墳のある、大阪府岸和田市に来ています。だんじりで有名な岸和田市ですが、小金塚古墳周辺でもだんじりの後だったようで電柱や壁には傷つかないようにシートで保護されていました。実はだんじりだけでなく、古墳も多いのが岸和田市。特に貝吹山古墳を盟主とした「久米田古墳群」が知られており、周辺には数基の古墳が今も残されています。
小金塚古墳は、久米田池を挟んで反対側の岡山町に存在。この一帯には小金塚古墳の他にも重ノ原古墳や馬塚古墳が築造されており「重ノ原古墳群」と呼ばれています。ただ開発により大半は消滅し、残るのは小金塚古墳のみとなっています。
そんな訳で、家族と蜻蛉池公園に散歩に行った帰りに小金塚古墳に寄ることに。もちろん子供は古墳と聞いた瞬間、顔をしかめます。
蜻蛉池公園から車で15分ほど走ると、古墳道路脇に「黄金塚」という看板を発見。小金塚古墳という名前とは別に「黄金塚古墳」との別名もあるようです。ちなみに岸和田市のお隣、和泉市には「和泉黄金塚古墳」があり、一般的にこの辺りで黄金塚古墳と言えば和泉黄金塚古墳を指します。
小金塚古墳は「黄金塚住宅」という住宅地に存在していますが、住宅地名は古墳名に由来していると思われます。
そんな住宅地名になったり看板まで設置されるという古墳がこちら。
なかなか斬新な保存方法ですね
ロータリー的な場所の中心に小さな盛り土が鎮座しています。もともとは、北から西へ張り出した小尾根の突端部に築造。現在は、墳丘の周囲は激しく削られ、元の姿はさっぱり分かりません。
下部は擁壁で覆われているよいに見えますが、実はコンクリートの土台の上に盛り土を乗せているようです。ちなみに郷土史の岸和田市史によると「文化財保護としては最低というほかにない」と評されていました。
「大阪府史蹟名勝天然記念物」によると下記のように記されています。
四面より開墾せられ、石槨の一部存ずるのみ。発掘すれば、祟りありとて里人之これを忌む
大阪府史蹟名勝天然記念物
どうやら、祟りの恐れがあったため完全に消滅することがなかったようです。ただ、十分祟られてもおかしくないぐらい削られているような気もしますが・・・
記録によると石槨の一部が残ると記されていますが、見た感じでは石材らしきものは見えません。仮に小金塚古墳が近隣の古墳と同時代に築造されたものなら小型の「竪穴式石室」である可能性が高いとのこと。
小金塚古墳が他にもユニークな点は、立地です。古墳を保護するために、道を作ったため古墳を囲うように道路が走っています。
一見すると「ラウンドアバウト(環状交差点)」のようにも見えます。ラウンドアバウトとは、信号の無い一方通行の交差点。日本ではあまり見かけませんが、アメリカや東南アジアでは普及しているようです。時計回りで通行し、合流と分岐を繰り返す円形の交差点で、安全に進行方向を変えられるのが特徴。
しかし古墳をよく見ると、黄色い道路標識が立てられており、調べてみると「ロータリー」を意味する標識でした。
どうやら小金塚古墳の場合、東側の道路が対面通行になっておりラウンドアバウトの要件を満たしていないようです。ラウンドアバウトは下記の左側の標識とのこと。
そんな道路の真ん中にポツンと保存された、なんちゃってラウンドアバウト古墳の小金塚古墳ですが、こんな姿でも岸和田市の指定文化財に指定されています。
岸和田市は現存する古墳は積極的に指定文化財に登録して保存に努めているようです。保存状態には難ありですが、文化財として登録されていればこれ以上ひどい姿になることもないでしょう。住宅地の真ん中で謎の盛り土を撮影していると、家の前を掃除している人からの視線が気になって仕方がありません。ああ、古墳撮ってんだなというのはわかってるでしょうが・・・
まとめ
今回は、大阪府岸和田市にある「小金塚古墳」を紹介しました。祟りを恐れるあまり、微妙な姿で残されたというなんちゃってラウンドアバウト古墳でした。住宅地名前になるほどのシンボルの古墳ということで、地元の人にも「カワイイ古墳」という認識の様です。
古墳としては微妙すぎる姿ですが、B級古墳好きには堪らない古墳といえるでしょう。ちなみに娘はワザワザこれを見るために寄り道させられたのかと呆れていました。
そんな訳で、小金塚古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、ラウンドアバウト古墳っぽいけどロータリーに残る微妙な古墳を紹介します。
小金塚古墳詳細
古墳名 | 小金塚古墳 |
別名 | 黄金塚、菅入道塚 |
住所 | 大阪府岸和田市岡山町 |
墳形 | 不明 |
全長 | 不明 |
高さ | 不明 |
築造時期 | 不明 |
被葬者 | 不明 |
埋葬施設 | 不明 |
出土物 | 不明 |
指定文化財 | 岸和田市のの史跡:1977年12月8日 |
参考資料 | 岸和田市史 |