はい、今回は大阪府堺市にある「御山古墳(おやまこふん)」を紹介します。この御山古墳ですが、神武天皇の東征において先鋒を務めたという「道臣命(みちのおみのみこと)」の墓と伝わっています。
道臣命は、古代の名族「大伴氏」の祖先として知られている人物。大伴氏のご先祖の墓かもしれない古墳があると聞いたからには、見に行かずにはいられません。そんなわけで、大阪府堺市にある御山古墳へ行ってきました。
御山古墳とは
御山古墳のある大阪府堺市に来ています。今回は、和泉黄金塚古墳へ行ったついでに御山古墳へ寄ることに。堺市といえば百舌鳥古墳群が有名ですが、御山古墳とは距離が離れており、百舌鳥古墳群には含まれていません。
ということで、和泉黄金塚古墳から20分ほど離れた場所にある御山古墳に向かいます。和泉黄金塚古墳は信太山丘陵の先端に築かれた古墳ですが、御山古墳も緩やかな丘陵地に築造されています。

ただ和泉黄金塚古墳と違い、御山古墳は住宅密集地に存在しています。本当にこんな場所に古墳があるのかと思いながら細い路地を歩いていると、おもむろに御山古墳が出現。元々は木が多く生えた茂みだったようですが、現在は剪定されてすっきりとした姿になっています。

古墳の北側は道路により削平されて、コンクリートブロックにより固められていました。

古墳には神社が建立されており、注連柱が建てられています。現在の御山古墳には大山霊山が建てられていますが、明治44年まで古墳のそばに日部神社が存在していました。現在の日部神社は、明治政府の神社合祀政策により300mほど北にある八坂神社へ合祀。ただ神社の名前としては八坂神社ではなく日部神社を称しています。

八坂神社ではなく日部神社を称した理由としては、日部神社は延喜式神名帳に記載された由緒ある式内社であり、それが名称を残した理由と考えられます。日部神社は、この一帯に勢力を有していた日下部氏が祖神である彦坐命をはじめ、神武天皇、 道臣命を祀るために創建されたと考えられています。
神武天皇が東征の際に上陸し、長髄彦と最初の戦いをした「日下の蓼津」は、この一帯を指すといわれています。このことが、日部神社に神武天皇を祀っている理由なのかもしれません。

道臣命は神武天皇の東征において先鋒を務めた人物で、大伴氏の祖とされています。大伴氏は、大伴家持などが歌人としてよく知られていますが、元々は軍事部門を司る一族でした。
道臣命が日部神社に祭られていた理由としては、日下部氏も軍事を司る部民だったと考えられており、摂津国や河内国に勢力を有していた大伴氏とも関係があったのかもしれません。日下部氏と大伴氏の関係は明確ではありませんが、御山古墳は『道臣命の墓』と伝えられています。
という訳で、道臣命の墓かもしれない御山古墳に上ってみます。墳丘に上ると小さな鳥居と祠が建てられており、こちらが大山霊山。地面はコンクリートでガッチガチに固められており、なんとなく殺風景な雰囲気も。

とりあえず神社で参拝し、古墳を見ていきましょう。こちらが御山古墳の全景になります。御山古墳は、直径30m程の円墳ということですが、築造時期や埋葬施設など、古墳に関する情報は全くありません。

古墳で一番気になったのが、祠の横に建てられている「軍師大山武勇明王」と刻まれた石碑。文字の隣には「信太山城主久保田家先祖」とも刻まれています。神社名の「大山霊山」と併せて、ここは久保田家の祖先を祀る私的な神社なのかもしれません。ちなみに信太山城という城を調べてみましたが、全く出てきませんでした。軍師とついているということは、大活躍した武将だったのでしょうか…軍師大山武勇明王が気になって夜も眠れそうにありません。

軍師の謎が解けなかったので、とりあえず墳丘の裾部を歩いてみます。すると裏側に、コンクリートブロックを重ね瓦を乗せた謎の空間を発見。中に何かを祀っているかと思いきや、空っぽでした。軍師に並ぶ謎ポイントです。

軍師と謎の空間が解けなかったので、墳丘に上ってみることに。幸いなことに、階段が設置される魔改造が施されており、簡単に上ることができます。というか、階段がなければ上ろうとは思わなかったのですが。

こちらが御山古墳の墳頂。思ったよりも広く、その一角に石柱の柵に囲われた謎の空間が存在しました。もしかすると、かつて存在したという日部神社の本殿がここにあったのかもしれません。

柵の中を見てみると、ポツンと灯篭だけが置かれていました。この空間も謎すぎて仕方ありません。ただ、とりあえず見晴らしは最高でした。

そんな訳で、住宅地の謎エリアで激写しているのも不審者感満載なので、帰りにもう一度大山霊山でお参りをして、帰ることにしました。
まとめ

今回は、大阪府堺市にある「御山古墳」を紹介しました。道臣命の墓と伝わる古墳でしたが、道臣命感は一切なく、大山さんパワーと謎の空間だけがインパクトに残る古墳でした。
大山さんの霊圧を得たいという方には、ぜひ訪れておきたい古墳ではないでしょうか。私はもう十分すぎるぐらい浴びさせてもらったので、もうお腹いっぱいです。
そんな訳で、御山古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、大山さんと謎の空間が広がる古墳を紹介します。
御山古墳詳細
古墳名 | 御山古墳 |
住所 | 大阪府堺市西区草部392−1 |
墳形 | 円墳 |
一辺 | 30m |
高さ | 不明 |
築造時期 | 不明 |
被葬者 | 伝:道臣命 |
埋葬施設 | 不明 |
指定文化財 | なし |
出土物 | 不明 |
参考資料 | 堺市HP 日部神社HP |