はい、今回は兵庫県丹波篠山市にある「石くど古墳」を紹介します。この石くど古墳には「火雨が降ったときの隠れ場」との言い伝えがあります。
火雨についてはあやふやなところがあるのですが、一説には「火山の噴火」とも言われています。そんな火山が噴火したときのシェルターかもしれない古墳があると聞いたからには、見に行かずにはいられません。そんな訳で、兵庫県丹波篠山市にある「石くど古墳」へ行ってきました。
石くど古墳とは
石くど古墳のある、兵庫県丹波篠山市に来ています。昔は篠山市という名前と記憶していましたが、令和元年に「丹波篠山市」に改名したとのこと。どうやら隣に近隣市町村が合併して「丹波市」が誕生したことで「丹波の本家は篠山なんだぞ」とアピールするのが目的だったようです。なにをしてもカーナビで篠山市をいくら調べても出てこないわけです。
今回は、家族旅行で篠山市にやってきました。兵庫県は全国で1番古墳が多い県ということで、丹波篠山市にもかなりの古墳が存在します。そんな訳で、旅行の随所に古墳をねじ込みながら丹波篠山市の古墳を巡ることに。
石くど古墳は、丹波篠山市の中心地より少し北側の田園地帯に存在します。篠山城と黒豆を堪能したので、宿に帰る途中に古墳に寄ることに。いきなり田んぼしかない脇道に入ったので、家族も嫌な予感がしていたようですが、目的地を告げられると諦めの境地に達していました。
石くど古墳は、農道沿いの脇に存在します。車を道の脇に停めさせていただき、石くど古墳へ。石室がむき出しになった古墳ですが、かまどの「くど」に似ているところが名前の由来。くどとは、ご飯を炊く竃(かまど)のこと。
石くど古墳は、6世紀後半に築造されたとされる古墳。封土は完全に失われていますが、円墳ではないかと考えられています。ちなみに「丹波の石舞台」とも呼ばれているらしいですが、初めて聞きました。巨石を用いた石室ということで、1958年に市の指定文化財に登録されています。
発掘調査が行われていないため、葺石、埴輪の有無は不明ですが、時代的に葺石や埴輪は使用されていなかったと思われます。1977年の範囲確認調査によると、周濠をもたないとのこと。
埋葬施設は、開口部を南東に向けた無袖式の横穴式石室。玄室部は長さ4m、高さ3mを測ります。玄室部分は比較的石材が残されており、巨石を天井石に使用。側壁も巨大な自然石を2段ほど積み上げて構成しています。羨道は長さ5mと考えられていますが、石材の大半が消滅。石室の全長は9mほどということで、この時代の石室としては大きい方ではないでしょうか。
玄室には謎の祠が建てられていましたが、何を祀っているのかは不明。集落に近い横穴式石室が祠に魔改造されるのは、古墳あるあるのひとつ。
この石くど古墳には「火雨が降ったときの隠れ場」との言い伝えが残されています。しかしそれ以外の伝承がなく、火雨が何かもよく分かっていません。ただ、山梨県韮崎市にある「火雨塚古墳」には、富士山が爆発したときに避難するために作った石室との言い伝えが残されています。
それと同じ意味ならば、この石くど古墳も火山から身を守るためのシェルターとして活用されたのかもしれません。ただ、火山弾とかが飛んで来たら一撃で吹き飛びそうな感じですが。ちなみにこの篠山市周辺には、火山がないとのこと。火雨とはいったい何なのか・・・
そんな訳で、謎の石室シェルターを激写していましたが、そろそろ家族の我慢が限界に達してきたので、とりあえず帰ることにしました。
まとめ
今回は、兵庫県丹波篠山市にある「石くど古墳」を紹介しました。火雨のときの隠れ場所との言い伝えがありますが、近くに火山が無いという謎の古墳です。ただ石材の大半が失われているので、仮に火雨が火山の爆発だとしても防げる気配はありません。火雨が火山でないとすれば、正体が気になってしかたありません。
そんな訳で、石くど古墳の紹介はこの辺で。次回はまた別の、火山が噴火したときに避難する古墳を紹介します。
石くど古墳詳細
古墳名 | 石くど古墳 |
別名 | 丹波の石舞台 |
住所 | 兵庫県丹波篠山市熊谷 |
墳形 | 円墳 |
直径 | 不明 |
高さ | 不明 |
築造時期 | 6世紀後半 |
被葬者 | 不明 |
埋葬施設 | 横穴式石室(無袖式) |
石室全長 | 玄室4m、羨道5m |
指定文化財 | 市の史跡:1958年8月10日 |
出土物 | 不明 |
参考資料 | 丹波篠山市HP |
案内板
市指定史跡 石くど(古墳)
石室の巨石が露出しており、その様子が、 石のくど (かまど)に見えることから、「石くど」と呼ばれています。本来は円形の古墳(円墳)ですが、封土 (盛土)が長い年月の間になくなってしま い、奈良県明日香村の石舞台古墳のような 独特の風景を創り出しています。
石くど古墳が築かれたのは古墳時代の後 期、6世紀後半と考えられており、横穴式石室の規模は、玄室の長さ約4m、高さ約3mです。この地域の有力者の墓だと考え られますが、遺物が見つかっておらず、詳 しいことは分かっていません。
石室は不安定で危険ですので、上に登ったり、中に立ち入らないようお願いします。
丹波篠山市教育委員会